オーストラリアドル円(豪ドル円)のレート予想

オーストラリアドル円(豪ドル円)のレート予想 実質相場と名目相場、購買力平価

オーストラリアドルは「資源国通貨」の代表格。国際商品価格との連動性が強く、世界景気回復期待などマーケットのセンチメントが色濃く反映される。この豪ドルは昔から高金利通貨投資愛好家の「アイドル」であった。ただし、このアイドルは悪女的な値動きを見せてきた。

 

名目相場の変動を見ると、1980年代の後半には、200円超えの水準から一気に100円前後まで半値に暴落した。このときは米ドルの下落につられた面もあろう。その後、オーストラリアドル円は中規模の上下動を繰り返した後、90年代後半や2005年以降、代表的な高金利通貨として投資家の超人気アイドルに返り咲いた。その結果、実質相場指数でも80年代前半の水準まで高騰した。

 

05年以降のブーム局面では実質金利差が低水準にあったにもかかわらず、為替相場のみが上昇している。このため、PPPから著しく乖離し、割高となった。07年夏以降のサブプライム危機の勃発とドル金利低下によって米ドルは下落し始めたが、FXのオーストラリアドルは小反落しながらも高値圏を維持した。円との金利差が比較的持続していたことに加え、世界的な資源価格局騰の動きが、投資家の買いを最後まで引きつけた。

 

実際、東京金融取引所の「くりっく365」が公開している売買残高動向を見ると、08年夏に向けてオーストラリアドル買い残高が一段と増えてきていた。そこに起こったのが、リーマンショックと「アイドルの大失踪」というべき暴落劇だ。100円台から50円台まで暴落した。

 

実質相場指数で見ると、80年以来の平均値は70円近辺となっている。現在の名目レートでは一オーストラリアドル70円台前半の相場がその水準に対応している。オーストラリアドルはブームーアンドーバーストを繰り返してきた。世界景気の回復期待が持続し、再び資源価格の上昇圧力がかかる局面では、人気も復活しそうな気配だ。